包括的なホスピタリティ

12 December 2022
包括的なホスピタリティ

ホテル“ブールゴンシュ ホフ”(Bourgoensch Hof)は、ベルギーの古都ブルージュの中心に位置する中規模の3つ星ホテルです。史跡や中世の街並み、かつては醸造所の敷地であった中庭の中にひっそりと佇むこのホテルのインテリアは、ミニマリストの美学と計算された色使いが見事な空間に仕上げられています。

このホテルは最近デザインがリニューアルされ、より現代的なデザイン美学を忠実に取り入れた空間を作るため、伝統ある建物とホスピタリティエリア、客室が改装されました。

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レセプションアリアからホテルのバー、既存の客室から以前はカーペット店だった隣接する建物に新たに追加された客室まで、建物の全面的な改修が行われました。この大規模な改修を経て、真っ白な壁と天然木材の要素に囲まれ、この地にふさわしい色の家具があしらわれた光溢れる明るくエレガントな空間が誕生しました。

インテリアデザイナー、ピーター・スクラート(Pieter Schoolaert)氏はホテルのオーナーと誠実に向き合い、互いに心を通わせて協力して取り組むことで、このプロジェクトを実現させました。

ブルージュの歴史的要素にこだわり、スクラート氏は非常に繊細な方法で色を取り入れました。ホテル内には、ブルージュの歴史と直接関係のある色である赤、緑、黄色が主に使用されています。「基本的な構造に取り組み、そこにブルージュらしい色を足していきました。赤はブルージュの多くの建物の屋根に使用されている色です。そんな赤い屋根によって作られる街並みを見下ろす最上階に特に赤を多く取り入れました。深緑(ワゴングリーン)はブルージュらしい色で、この街の多くの建物の窓や周辺の草木の色と調和する色です。黄土色は中世の街並みが残されたブルージュの建物のファサードに使用されている金箔を想起させる色です。自然な色合いのグレーはゲストの方が滞在する歴史的建物の部ルーンストーンの敷居とウォールパネルの色です」

自らが描く全体的なビジョンを補完する家具を選ぶ段階で、スクラート氏の心は質の高いプロダクトとひとつのデザインに対して幅広いバリエーションを展開していることで有名なイタリアのメーカーArperのデザインに引き付けられました。ベルギー出身のインテリアデザイナーであるスクラート氏にとって、Arperは「驚くほど使いやすく、長く使える耐久性も兼ね備えた美しいデザイン」を形にしているメーカーだったのです。また、色や素材のバリエーションが豊富な点もスクラート氏を魅了しました。

Arperの柔軟性に優れたプフ“Pix”は、魅力的で目を引くレセプションエリア作りに貢献しています。有機的なラインが魅力のチェア“Duna 02”は、ホテル館内のさまざまな色調のエリアで視覚的ハイライトとして見事に機能しています。デザイン性が高く機能的なテーブル“Dizzie”と“Wim”は、スクラート氏のビジョンを的確に補完し、ホテル“ブールゴンシュ ホフ”を現代的でソフトな印象に包まれたホテルへと見事に変える役割を担っています。

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Credits

Interior Designer: Pieter Schoolaert

Photo: allt