デザインストーリー

Introducing Catifa Carta

15 April 2024
Introducing Catifa Carta

An interview with Roberto Monti, CEO of Arper, and Anders Breitholtz, CEO & Co-Founder of PaperShell.

ArperとPaperShellが提携に至ったきっかけは何ですか?

 

 

RM: 当社のPaperShellとの関係は3 段階の重要なフェーズを経て前進してきました。その革新的な素材のサンプルに初めて出会ったのは2018年。最初のミーティングでその可能性を感じました。 それから数年が経ち、私たちは再び会う機会があり、そこで持続可能な未来のための共通ビジョンを見出しながら信頼関係を深めていきました。そして、昨年、共通の理念とビジョンを具体的にし、提携契約の締結に至りました。

 

AB: 私たちは、互いのビジョンとそれをいかに行動に移すかの考え方が同じでした。サステナビリティに関するレポートをもとに多くの議論を重ねた結果、具体的な施策を考える必要性を互いに感じ、イノベーションに向けて乗り出しました。 私たちは、サステナビリティについて表面的に話すだけでなく、いかに具現化していくかが重要かを認識していました。この価値観の一致がその後のコラボレーションを加速させ、有意義な変化に向けて互いに努力するようになりました。 真の変革を実現するには、透明性、繊細さ、そして真のコラボレーションがすべてです。

 

RM: まさにそうです。 私たちのパートナーシップは信頼と透明性の基盤の上に築かれています。私たちはすべてに答えを持っているわけではないですが、解決に向けて互いを尊重しながら協力しあうという決意を固めています。それは単なるビジネス関係を超える、持続可能な未来への共通の目的意識に基づいた真のパートナーシップ関係です。

新素材であるペーパーシェルを生み出すまでの過程について詳しく説明してもらえますか? その誕生のきっかけとその素材のイノベーションをどう実現させていったのですか?

 

 

AB: ペーパーシェルのベースにあるのは、主には私の専門でもある材料技術における専門知識と経験でした。サステナビリティの分野では、実行可能な代替手段が急務となっていますが、市場で提供されるものは依然として不足しています。それに危機感を覚え、真に持続可能な素材を生み出すことに注力しようと決意しました。

 

問題は生態系に負担をかけずに、いかに豊富な資源を活用できるかということです。思いついたのが入手容易で可能性を秘めた資源、セルロース繊維の活用です。しかし、ビジネスとして実行可能かつ強度と耐久性の業界標準を満たすことができるかという疑問も残りました。当社の共同創設者である マシュー・グスタフソンと協力し、厳格なテストと実験を繰り返し、最終的にペーパーシェルを誕生させました。まさにこれこそがサステナビリティの無限の可能性を証明したイノベーションの力です。

Arper にとって、サステナビリティとは何ですか? そして、素材としてのぺーパーシェルが果たした役割とは?

 

 

RM: サステナビリティは今後のArperのビジョンの中核をなすものです。 私たちは、これからの持続可能な未来に向けての自らの責任を認識し、責任あるビジネス慣行の代表例となることを目指しています。 サステナビリティを事業活動の重要指針として、他社とのコラボレーションや知識共有を通してさらに前進させたいと考えています。そして、Catifa Carta は単なるプロダクトではなく、過去、現在、未来をつなぐ象徴的存在とも言えます。

 

AB: 過去の経験から言うと、サステナビリティはコスト増という誤解がよくあります。 しかし、戦略的にアプローチすれば、実際にコスト削減につながることも事実です。そのためには自身の視点を再構築し、サステナビリティの真の価値とは何かを理解することです。恐れや罪悪感から動かされる重荷としてではなく、未来をカタチづくる革新的なアプローチとして捉えることです。従来の美の基準を見直し再定義することで、資源の活用を最小限に抑えながら長期にわたる価値を持つ製品を生み出すことができます。 Catifa Carta は、機能性に加え、サステナブルで永続的な価値を生み出せるというこの精神を具現化しています。

 

RM: まさに同感です。Arper では、単なる一過性のトレンドではなく、むしろ時代を超越したデザインを常に追求してきました。 Catifa Carta は、まさに私たちの長い道のりの新たなフェーズの代表作として世界的な対話を引き起こし、その限界を押し広げました。たとえ困難や挫折に直面しても、明確な目的地に向かってサステナビリティの限界をどこまで押し上げることができるのか? そう常に問いながら、イノベーションの力でサステナビリティを推進させていくことに邁進しています。

「リビング・オブ・プロジェクト」というテーマにおける Arper の戦略的アプローチについて聞かせてください。 Catifa Carta と PaperShell とのコラボレーションは、このアプローチと連動していますか?

 

 

RM: Arperは、サプライヤーから未来を見据えた家具ブランドへと段階的に進化を遂げてきました。その道のりの中で私たちは常に人々のニーズを理解し、共感することに重点を置いてきました。 「リビング・オブ・ プロジェクト」は、まさにこの精神を体現しています。単にプロダクトを設計したり、空間を提案したりするだけでなく、より豊かな暮らしや地球と人間の両方のニーズに応えることを目指しています。それはより美しく、より意義深く、より持続可能なものを創造するという、企業としての使命を持って社会的責任を果たすことでもあります。個々人がより豊かに充実した暮らしを送れるように前向きな影響を与えることなのです。

 

私たちにとって「美」とは、単なる造形美を超えています。 それは人々の暮らしや社会に真の価値をもたらす何かを創造することでもあります。 PaperShellとのコラボレーションと Catifa Cartaの誕生は、サステナビリティと共感に重きを置いたデザインへの取り組みを実証しています。人間と地球の両方のニーズを理解することで、人々の体験そのものを向上させるだけでなく、地球環境にも貢献するプロダクトを提供できるものと考えています。

© Alberto Sinigaglia
© Alberto Sinigaglia

将来を見据えたこの提携が Arper と PaperShell双方の今後の方向性にどのような影響を与えると思いますか?

 

 

AB: 私たちのコラボレーションは、社内に限らず業界全体にわたる変革への触媒になると考えています。もちろん、1 つの素材だけでは世界を救うことはできませんが、同パートナーシップによって新たな可能性への扉が開かれ、他社が追随するきっかけになればと期待しています。素材への新たな視点と使用方法の拡大といった変化を起こし、素材の機能性やサステナビリティという観点から素材そのものが再評価されることを願っています。

 

RM: Arper にとって、このコラボレーションは単なるパートナーシップ以上の意味を持ち、社内外両方で変革をもたらすきっかけになると考えています。PaperShellとの提携は、従来のビジネス慣行から脱却し、新たな視点を受け入れることにつながると同時に、信頼ベースの人間関係、イノベーションやコラボレーションといった組織文化を育むことにも役立っています。このパートナシップによって、私たち自らを刷新し、時代の変化に適応しようとする姿勢を持てたことが今後の方向性を推進する上で大きな意味があります。

 

AB: その通りです。単なる製品を生み出したというのではなく、それまでの道のりと視点の変化が重要です。 この提携は他の分野の建築家やデザイナーを刺激し、さらなる創造性とイノベーションを引き起こす可能性があります。仕事に楽しさと遊び心を感じながら、個々人で仕事に責任を負い、自らの権限でポジティブな影響を与えることができるような環境になることを願っています。

将来のビジョンや夢は何ですか?

 

 

RM: 私にとってサステナビリティは経営指針であり、事業のあらゆる課題を動かす羅針盤とも言えます。私の夢はシンプルかつ奥深いものです。社内外において、自分が行うすべてのことに価値をもたらすこと。社会的責任あるビジネス慣行の代表例となって世界に有意義な変化をもたらすことを思い描いています。 私たちにとっての成長とは、単に販売網を拡大することではありません。それは、ポジティブな変化につながる正しいことを正しく行うということです。ペーパーシェル素材がより広く採用されることで目に見える変化を人々が実感し、今後もこのようなパートナーシップ構築がさらなるイノベーション創出と影響力の推進につながればと考えています。

 

AB: 私も同様な考えを持っています。自分のためだけではなく、愛する人や地域コミュニティのために、自分の時間と努力を費やす責任があります。私の夢は他者を突き動かしながら、業界横断的な変革を促すことです。 私たちは Arper と連携しながら真の変化をもたらすイノベーションと努力の種を蒔いています。従来の慣行や障壁を打ち破りながらポジティブな変化を引き起こすこと。互いに挑戦し可能性の限界を押し広げているので、今後数年間で私たちのコラボレーションがどこへ向かうかが楽しみです。

 

RM: その通りです。 PaperShell とのコラボレーションは単なる 2 社に限らず、たとえ、小さな組織体であっても大きな影響を与えることができるということを証明しています。変化を起こすには必ずしも大きな存在である必要はありませんが、大きな夢と大きなビジョンを持つことは重要です。そして、社会に前向きな変化をもたらすための情熱やイノベーション、そして、コラボレーションのような集団としてのパワーです。