
Introduction
Arperにとっての「色」とは、単なる仕上げやデザインのチョイス以上のものです。「色」は、直感、バランス、光、遊び、他の要素と融合しながら私たちのコアバリューのひとつへと進化してきました。デザイナーや思想家との長年にわたるコラボによって、独特な色合いが生み出されてきました。ここでは、Arperの独特の色使いとその背後にある概念をカタチづくるに至った発想やデザイン、さらにはデザイナーたちの提言を紹介します。<br /> <br /> 時代や文化的背景による「色」


「色」とはそれ自体だけでは存在し得ない知覚現象です。環境条件はもちろんのこと、その国の歴史や文化特有の色彩感覚や素材によっても大きな違いをもたらします。
「色」は、刻々と変化する時代の文化的特徴を表現することもあります。モダニズムにおいては、装飾的な色は軽視され、洗練さの象徴として白いキューブや黒のドレス、ニュートラルな色彩が好まれ、対照的に強烈な色は軽薄なものとして認識されてきました。しかし、「色」の捉え方も時代によってさまざまです。フレッシュでワクワクする色がある時代にはくすんだ色であり、落ち着きを表す色が国によっては憂鬱な色と認識されることがあります。つまり、色自体は変わらないものの、人間の捉え方でその意味が大きく変わるということです。
文化的背景と時代は、人間の感情的な知覚現象を左右するだけでなく、その物体の個性(素材、フォルム、サイズ、構造)や環境条件の変化とも相互に作用しあいます。シルクの光沢、ベルベットの深み、エナメルの輝き、またはマットな絵の具などは同じ色でも質感が違えば印象も大きく異なります。結論:色はそれ自体だけでは意味を持ちません。素材や周囲の色、歴史や文化的背景と絡みながら存在します。まるで音楽における陰影のように、色は光に溶け込みながら色合いとなって印象を生み出しています。
「デザイナーである私たちは、すでにある何か、例えば、希望や気分、漠然とした欲求をカタチにしようとします。そして、どう表現するかで悩みます。
まずは特徴を明確にし、色や素材、構造や構成を通して視覚化していきます。その創造プロセスにおいては、地域コミュニティとの継続的な対話は欠かせません。価値観やアイデアを共有し、私たちが住んでいる社会にどう応えていくかが私たちの環境をカタチづくり、その反対も然り、人はその環境によってカタチづくられていくのです。このように、私たちは皆、大きな集合体の一部であり、共に考え、共に感じあって生活しているのです。」 - ジャネット・アルテール
デザインコンセプトとしての「色」


当社の「色」への哲学は、2000年のCatifa(カティファ)チェアの誕生によって新たな次元へと進化しました。Lievore Altherr Molina(リエボレ・アルテール・モリーナ)がデザインしたアイコニックなチェアは、その仕上げに加え、「色」をデザインコンセプトの中核に据えています。その特徴的なツートンカラーは、2つの色を同じボディに並列できる新たなバイインジェクション技術を駆使して生まれました。


リエボレ・アルテール・モリーナのジャネット・アテール氏はこう語っています。「ツートンカラーのチェアは、テーブルとチェアの間にある種のビジュアルアイデンティティを生み出します。軽快なテーブルの周りに配置された白いチェアは、対話と情報交換のために設計された環境を創り出し、外側のカラーシェルやエッジは、コラボレーションや社内での円滑なコミュニケーションをサポートします。」


最初のCatifaコレクションでは、その色がインテリアデザインの中核的役割を担うことを狙いました。例えば、光沢のあるエクステリアとマットな質感のインテリアを組み合わせるなど質感との融合を実現しました。表面の質感を変えたことで色が微妙に変化し、真っ白なシェルと他の構造部分とつなぐ役目を果たしました。


「直線的なつくりでは、2色づかいが二重の効果を生み出しています。正面から見ると、洗濯したてのシートに座っているかのようにチェアの列に静けさと透明感をもたらし、後ろから見ると、チェア背面のカラー展開が活気と創造力溢れる雰囲気を創り出しています。」- ジャネット・アテール


その後、Catifaファミリーに新たなコレクションが追加されたことで、「色」が製品の個性にとって欠かせない要素であることがより明確になりました。2016年に導入したツートンカラー展開によって新次元のコントラストを生み出し、色の持つさらなる可能性を引き出しました。デザイナーのジャネット・アルテールは、コレクションごとに異なる色と質感のある素材をチョイスし、製品の独自性を打ち出し、バージョンごとに異なるメッセージ性へとつなげています。


例えば、 Catifa 46はフレッシュで遊び心のあるカラー展開、Catifa 53は温かみのある仕上げとレザーバージョンでエレガントかつ洗練された外観とより快適なスタイルを提案しています。


「色」とスペース


空間において「色」を考える際、自然が私たちを包み込むのと同じように「色」に包まれていると考えます。ギリシャの島の深い青色、晩秋のオレンジ、赤、黄色が織りなす何百万もの鮮やかな紅葉、イタリアの古都シエナのアースカラーの街並みを想像してみてください。圧倒的な「色」が私たちを魅了し、記憶に残るシーンとして深く刻まれるのです。
2018年にリエボレ・アルテール・モリーナによって設計されたParavan(パラヴァン)パネルに代表される空間を仕切るArperのモジュラーコレクションは、人間が家具を超えて「色」によって空間に没入できるように設計されました。


「色は色相、表面、そして、そのカタチ、さらにはサイズ感や光や環境条件とも関係します。色選びは簡単に見えますが、それを家具や空間を構成する要素と組み合わせていくことは非常に難しいです。例えば、チェアのように小さなモノでは上手くいっても、壁となると上手くいかないのです。」とジャネット・アテールは述べています。
例えば、Paravanでの色は包み込むと同時に部屋の中の一要素としても機能します。例えば、空間を仕切るための境界線としてのサインとしての役目です。岩崎デザインスタジオがデザインしたKiikやリエボレ・アルテール・モリーナがデザインしたモジュラー式ソファ、Loopでは、「色」は面ではなく、地平線の境のように線として捉えることで構造を示すナビゲーションポイントとして存在しています。


こうした「色」の活用は、私たちの環境、感情や感性に大きな影響を与える力を持っています。人間中心の柔らかな空間は、心地よい素材やフォルム、五感を呼び覚ます家具構成で人間のニーズを直感的にサポートします。私たちを包み込み、安心しながらくつろげる空間、その創造に欠かせないのが「色」の存在なのです。
「インスピレーションの源泉となったのが建築でした。数年前、私たちは幸運にもメキシコシティにあるルイスバラガンの家を訪問することができました。壁面のピンク、黄色、鮮やかな赤、青などその圧倒的な色のパワーに感銘を受けました。壁面の質感によって造り出された自然な雰囲気が印象的でした。Paravanのようなパネルで小さな空間をつくる際の主な素材である布ファブリックは、構造的でリッチで温かみのある同様の感覚を与えることができます。」-ジャネット・アルテール
「色」とエモーション


色で感情が動く、色度、明度、彩度 「色」は感情をも表現します。物体に独特な個性を加えるだけでなく、色自体が個性を持っています。例えば、ピンクとブルーを思い浮かべるだけでその色の持つイメージを認識し、時に感情さえも伴います。当社では、色と感情の関係を深く研究していると「色」には心理的効果があることが分かります。例えば、ピカソの憂鬱な「ブルーピリオド」や「バラ色のメガネ」という表現で楽観主義者を表現するなどがあります。「色」は私たちの感情と深く結びつき、私たちの心理や行動に深く影響を与えるのです。
Arperでは、常に「色」と感情のつながりをコアデザインバリューのひとつと位置づけています。「色」が相互に組み合わさることで人間の心理にどう影響するか、「色」がフォルムや素材ともマッチするか、また、「色」との相互作用が人間の心理にどう影響し、どうデザインに適応していくかを考慮しながらそれぞれの製品コレクションを開発しています。製品の開発デザインにおけるコアバリューとして「色」を位置づけることから始まったさまざまな分野の専門家とのコラボレーションによって「色」への深い探求に着手しました。
写真家のドミニク・タラバンスキー氏への最新のインタビューで、「色」と感情とのつながりを追求している彼の一連の作品について尋ねると、「結局のところ、重要なのは色が人間の心理と行動にどう影響を及ぼすかということです。私たちが絵画やオブジェ、チェアを見る場合、その色がどんな印象を与えるだろうか? 果たしてマッチしているか? 見ているものに何を感じさせるのかということを考えます。見る人に色を見直してもらうのではなく、色をもっと慎重に扱うことの重要性を感じてもらいたいというのが私の狙いなのです。」


作家兼デザイナーのイングリッド・フェテル・リー氏は、彼女の作品において見る人に周囲の持つ効果にもっと触れてほしいと願っている一人です。IDEOの元デザインディレクターであるリーにとって、美意識が感情に触れる方法でデザインをするよう心がけています。「感情の動きは仕事の多くを左右します。美意識が喜びにつながると人はより愛情深くなり、多くの場合自分を解放し、協調的で創造的になり、仕事にも意欲的になります。私たちは自分を最大限に引き出しているだろうか?」


タラバンスキーとリー両氏は、色と感情の関係と環境がどう人間の感情を動かすのか、そして、その場合、デザインはどう役立つのかをさまざまな人とのコラボを通して追求し続けています。
「私は、喜びを感じられるモノに目を奪われます。例えば、明るい色とか丸いフォルム(フラフープ、メリーゴーラウンド、花)とか。シーンやオブジェを見て分析したりもします。なぜ私はそれに惹かれるのか? 人間が本来持っている喜び回路とは脳内のどこにあるのか?概して、喜びとは、無意識のうちに感じるものなのです。自宅にギザギザに角張った、神経がイライラするような家具がほしいという人もいるのは確かです。美しいとか価値があるという理由が全てではないからです。私が思うに、人生により深いかつ普遍的な喜びの美学、つまり、感性を磨くことは環境の中で何かが欠けていてもそれを補充することができるのです。」 -イングリッド・フェテル・リー
「色」とウェルビーイング
「色」は人の気分だけでなく、人間のウェルビーイングをも左右します。 2014年頃から、生活と仕事の境界線がより曖昧になり始め、第三次産業革命は、どこでどう働くかなど私たちの生活のあらゆるものを変化させました。


オフィスは、もはや固定された空間や通勤する場所ではなく、携帯するデジタルツールへ。ノートパソコンとスマホさえあれば、自宅、空港、レストラン、ビーチのどこでもがオフィスになる時代になりました。そして、オフィスはよりカラフルに、より直感的で共感できるものへと変容していきます。


Arperにとって、この「共感」に向けてのシフトはまさに私たちが提言したソフトテック、つまり、心身共のソフト面に向けての「イノベーションとテクノロジー」の原点ともいえます。空間というものが,そこで働く人の健康から生産性、創造性、コラボレーションに至るまですべてに影響し、空間で使用されている素材や内装、色によってもその効果が左右されるということです。


こうした空間をソフト面から考えることから生まれたのがKinesit(キネシット)チェアです。変化する働き方と新たなオフィス創造に向けて開発されたKinesitは、力強い基本色をベースにするというカラーパレットを特長としています。そのパレットは、2014年のOrgatec、そして、2017年のMilano Workで再評価されました。微妙に違う原色同士を組み合わせることで楽しく洗練された雰囲気を創り出すことで人間の心身とものウェルビーイングを向上させる意味でグレーと黒が主流だった画一的な環境に新風を吹き込みました。


身体と心の相互作用を念頭に誕生したのは2017年のCila(シイラ)チェアです。Cila の流れるようなラインは、折り重なって着る人の体を包み込む布のドレスを思わせます。柔らかな曲線のシルエットは、包まれ、守られているような原始的感覚に近い安らぎを与えます。


Cilaのプラスチックシェルの色は、粘土と肌の色(土臭い、流動的、温かみ、有機的)から着想を得て、後に2018年のArperのブースデザインにも採用されました。Cilaの仕上げには、天然レザー、ソフトウール、プラスチック、鋳鉄仕上げと落ち着いたブラックカラーのベース、ブラックプラスチックなどより触り心地の良い素材がチョイスされました。


ヨーゼフ・ボイスのフェルト彫刻にヒントを得た厚めのフェルト生地で包まれた柔らかみ溢れるチェア、Cilaは、こうして色とフォルムを慎重に計画することでウェルビーイングの向上を促すプロダクトとして昇華されました。


「私たちは、空間や環境との関係は裏表だという教育を受けてきました。私たちは環境を通して自分を表現して評価されると考えてきたのです。そして、その逆はあり得ないと。私にとってはその逆の方がよっぽど重要なのですが。環境や空間こそがそこにいる人の感覚を通してそこにいる人のウェルビーイングに影響を与えるものなのです。」 -イングリッド・フェテル・リー
「色」と素材
素材と「色」の関係は極めて密接で、時には「色」が素材になることもあります。「色」は、素材の質によっても変化します。例えば、マット、シルキー、シャイニー、ラフといった質感、天然の無垢の色は時間の経過とともに変わるということです。こうした繊細で微妙な違いがインスピレーションの幅を無限に広げていきます。


私たちは、まず、2012年にリエボレ・アルテール・モリーナがデザインしたArper初のウッドチェア、Saya(サヤ)、そして、2013年にアンティ・コティライネンがデザインしたAava(アアバ)で素材での色の変化をより深く探究し始めました。Sayaは、製品の寿命が長い合成プラスチックの代替品として開発され、無垢材を使うことでの生活の質の向上を目指すと同時に、色合いやつやなどの風合いといった経年変化も表現のひとつとして考慮されました。


「この発想は、日本でお茶の容器メーカーを訪問した際に思いつきました。鋼や銅、真鍮などの金属板は空気に触れ、人の手によって長期間使用されると酸化による独特の緑青色が発生します。木材も同様で、常に呼吸をしている証で年月を感じます。」とリエボレ・アルテール・モリーナのジャネット・アテールは語っています。


Sayaのデザイナーは、オープンポア仕上げの天然ベニアをチョイスしました。まさに「色」と素材の融合です。「ウッドの非常に淡い漂白されたような色調からトーストされたようなほぼブラックに近いダークブラウンといった濃い色調に変わる色をあえて選びました。グラデーションの異なる赤い色調のものもあります。これは樹木のように生命を表す色であり、実際に日本の木材でよく活用されているものです。1色でひとつのピースを表現し、複数の色を組み合わせることでリズムをつくりだすのです。」とアルテールは説明します。


Arperのウッドプロダクトが経年変化で自然な色を映し出すのに対して、Arcos(アルコス)やStacy(ステーシー)のように、建築から着想を得たコレクションの「色」パレットは、むしろ色によって素材をさらに強調するというものでした。リエボレ・アルテールは、Arcosのデザインで、クラシックなフォルムの繰り返しと独特な素材感を特長とするモダンな仕上げを組み合わせました。黒い大理石、深緑色、インク、錆、黄土色などのカラーバリエーションが豊富なベルベットづかいです。デザイナーのジャネット・アルテールは次のように説明しています:
「色選びには特に注意を払いました。バルセロナ近郊のコルベロの家からインスピレーションを得て、影のようなモノクローム仕上げの作品を想像しました。エレガントでダークなベルベットのような色を張り地と金属のマットラッカーの両方に生かし、製品全体を一つの素材でつくるというアイデアを思いつきました。色溢れるパレットは、グラフィック表現でもあり、白い壁とのコントラストも印象的で、私たちのインスピレーションの源であるコルベロの家や視覚的な強さを持つ幾何学的なプロトタイプをも彷彿させるもものでした。」


静かで洗練されたモダンなスタッキングチェアStacyを彩る色は、レンガ、錆、鋳鉄、黒鋼、砂岩、石膏などの高貴な建築材からインスパイヤされたもので、まさに色と素材の関係を明確に築いたプロダクトと言えます。


「スタッキングチェアは運ぶことが多いため、軽量であることが必須条件になります。最も軽量な素材はプラスティックで活気のある色が多く使われています。おそらく、通常使用される典型的な広めのコミュニティスペースが、大抵はレンガや白い漆喰、合板などメンテが容易な材料をベースに造られていることが多いからでしょう。空間自体に工夫を凝らしたものではないことも多く、その中でチェアのプラスチックの色は雰囲気を活気づけるという意味でもとても重要です。一方で高品質なスペースで使用する場合には、軽量のプラスチック製のチェアには、ほとんど色の選択肢がないことが多いのです。そこで私たちは色を追求し、より存在感のあるプロダクトを生み出そうと考えたのです。」
—リエボレ・アルテール




「色」と自然
ArcosとStacyのコレクションは色を活用しながら素材を強調しています。Arperはコラボレーターであるジェニファー・ブルックの作品を通じて「色」そのものの重要性にも興味を持ち始めました。ブルックは、地球にある自然物の色の研究者であり、それを使ったデザイナーとしても有名です。彼女は、文字通り地球にある「色」を常に探し、「色」の重要性と場との関係を追求するためにこれらの天然色素を水彩やチョーク、アート素材として精製、加工しています。
「アート素材として絵の具を使い始め、そこから水彩画、クレヨン、チョークを作り始めたら、それぞれの絵の具の効果が異なることに気づきました。バターやビロードのようなものもあり、扱っていて楽しいものもあれば、苦労するものもありました。天然色素には個性があります。これは「色」は個性というArperの提言を思い出します。」


ブルックの作品では、色との関係とそれが素材とどう作用し合うかを見てとれます。それと同時に、デザイン分野での持続可能性を支援するために、デザイナーやプロデューサーは、いかに自然な色を製品に取り入れることができるかのヒントを投げかけています。「地球にある自然色と言えばアースカラーで、それは茶色の濃淡で表現されます。しかし、私の場合、自分のスタジオに地球儀があって、アースカラーといえばピンクや黄色、青や緑まで信じられないほどの種類があるのです。私たちは色溢れる回転ボールの上に立っているのです。」とブルックは説明します。


ブルックの作品は風景の中にある色を表現する一方、Arperはそれとは別の方法で色と自然の関係、つまり、空間デザインでの色や素材を介しての自然との関係を追求し始めました。 2020年にLievore + Altherr DésileParkが設計したAdellチェアでの色展開は、色と素材との組み合わせで自然界を表現しています。


「この有機的フォルムや自然な肌触りを明るい真っ白な人工的な色と一緒に想像することはできませんでした。そこで開発したのが、木々や葉っぱなどの自然界にあるものから触発されたさまざまな柔らかい色合いでした。白や黒などの基本色でさえ、グラフィックカラーではなく、もっと繊細なグラファイトブラックやアイボリーとして表現したのです。」とデザイナーのジャネット・アルテールは説明します。


私たちは、自然界に目を向けることで多くのインスピレーションをもらえます。そのお返しに自然界を保護するための開発、製造方法にも注力しています。再生プラスチックを活用したAdellチェアは、その滑らかなラインが小石を、その仕上げは木の年輪の同心円状模様を思い起こさせ、自然がもたらす安らぎや美しさを表現しています。製造メーカーであり、地球コミュニティの一員として、地球に優しくかつ自然とのポジティブなつながりをデザインを通して表現する責任が私たちにはあります。 これまでのように、「色」はその時代に使われる素材の一部として捉えられていくでしょう。Arperは、Adellも含めて2021年にリリースされるコレクションにおいて、「色」の未来を探究しながら、「色」をデザイン要素としてだけではなく、サステナビリティの取り組みの一貫としての「デザイン」の中での「色」のさまざまな使い方を提案しています。


私たちは、自然界に目を向けることで多くのインスピレーションをもらえます。そのお返しに自然界を保護するための開発、製造方法にも注力しています。再生プラスチックを活用したAdellチェアは、その滑らかなラインが小石を、その仕上げは木の年輪の同心円状模様を思い起こさせ、自然がもたらす安らぎや美しさを表現しています。製造メーカーであり、地球コミュニティの一員として、地球に優しくかつ自然とのポジティブなつながりをデザインを通して表現する責任が私たちにはあります。 これまでのように、「色」はその時代に使われる素材の一部として捉えられていくでしょう。Arperは、Adellも含めて2021年にリリースされるコレクションにおいて、「色」の未来を探究しながら、「色」をデザイン要素としてだけではなく、サステナビリティの取り組みの一貫としての「デザイン」の中での「色」のさまざまな使い方を提案しています。


カラーとサスティナビリティ
アルペールにとって、どのように製造するかは、何を製造するかと同じぐらい重要なことと考えています。物は単に美しいだけではなく、社会の健康や環境への影響を考慮して作られなければなりません。 アルペールにとって、デザインのあらゆる側面 – 材料の調達から製造方法、さらにはカラーの使用に至るまで – におけるサスティナビリティは、二次的に考慮することではなく、すべてのコレクションを生み出す際の中心的な関心事なのです。
「私たちは企業として、サスティナビリティに対する社会的責任を負っていますが、それを単純に見過ごすことはできません。」と アルペール の会長 クラウディオ・フェルトリン は説明します。「2005 年、アルペールはサスティナビリティにフォーカスした特別なチームを社内に設置しました。私たちは製造を行う組織として、素材の選択方法、製造工程、製品ライフサイクルの最終段階での処理方法など、生態系に最も大きな影響を与える側面にフォーカスしました。やがて、それらはガイドラインとなり、私たちのプロセスの一部となりました。つまり、サスティナビリティとは、長期にわたる絶え間ない努力と注意が必要とされるプロセスであるという私たちの信念を反映したガイドラインとなっています。」


デザインの生産とライフサイクルに関するアルペールの循環的な視点は、素材選びの段階から始まります。製造に水や農薬を大量に使用するコットンの代わりに、麻繊維や藻類などの低農薬の天然素材を使用して、デザイナーのビジョンを実現できないだろうか?再生プラスチックでデザインを作れないだろうか?これらの問いは、カラーの考慮にまで及びます。
素材の自然なカラーを変えるほとんどの工程は、環境に深刻な悪影響を及ぼします。漂白や染色などの繊維の色処理は、すべての淡水汚染の20%を引き起こす要因となっています。天然の植物染料は、汚染の観点では化学染料よりも安全な代替品と言えますが、色堅牢度の観点からコントラクトマーケットの要求には十分に応えることができません。
デザイン思想は、カラーとサスティナビリティの課題に対してどんな貢献ができるのでしょうか?デザイナーは、私たちの美に対する考え方を変えるためにどのような役割を果たすことができるのでしょうか?アルペールの会長 クラウディオ・フェルトリンは、デザイン戦略がそれらの解決に貢献できると考えています。「デザインによって美的価値観を革新し再定義する方法を探ることで、環境と人にとって“良い”ものが“美しく”て“望ましい”ものである、という確信へと導くことができるでしょう。」


サスティナブルに生産された無数のカラーのファブリック仕上げを提供するだけでなく、アルペールは新しい手法でカラーを考え始めました。アルテール・デジール・パークは 2021 年のKata(カタ)コレクションで、サスティナビリティのための新しい戦略を模索しました。


3D ニットと再生ポリエステルから作られたクッションをデザインすることにより、生地の無駄を全体で 30 ~ 50% 削減することに成功しています。2種類のグラフィカルで立体的な3Dニットのテクスチャーとパターンは、生地の表面に光と影を生み出します。これにより化学染料による着色工程の必要性が削減されました。


「一方で、カラーを組み合わせて空間を生き生きとさせる以外にも、別の戦略を見つける方法を模索しました。」と、アルテール・デジール・パークのデザイナー、ジャネット・アルテールは説明します。 「新しいKata コレクションのために、私たちは 4 色のベーシックなナチュラルカラーを開発しました。それは、チャコールとリネン – これらは追加の染料を使用しません – そしてウィートとウォーターです。面白い表面を作り出すのに他の方法がある場合、表現力豊かなカラーはそこまで必要ではないのだと分かりました。また、オプションのクッションを使うことで、アクセントカラーを追加することもできます。 」


もう 1 つのデザイン ソリューションの可能性として、退色や経年による影響の捉え方を再考し、カラープロセスにおけるデザイン定義を広げることが挙げられます。 「着古したジーンズの色あせは、新しいジーンズにはない魅力を与えてくれます。」とアルテールは説明します。「コレクターは、特に中古家具の経年変化に魅力を感じます。壊れた陶磁器を修復する金継ぎの技法や、ベルリンのノイエ国立美術館でデビッド チッパーフィールドが行った修復プロジェクトのような修復の痕跡は、さらに美しくユニークなものとして認識されていく可能性があります。ただ、問題点はまだ残っています。気候危機の瀬戸際にあるこの世界で、サスティナビリティへの取り組みをサポートするために、美的価値観をどのように変えていくことができるでしょうか?」


カラーをサスティナブルに使用するということは、カラーバリエーションに制限をかけることを意味するのではありません。デザインソリューションによって到達できるカラーと可能性に対して、私たちの心を全方向に開くことなのです。それによって初めて、カラーの本当の未来を完全に理解することができるのです。

